1960年代から半世紀以上ものキャリアを誇り、今もトップランナーとして、そのキャリアの頂点を極めている田名網の現在を紐解く試み。田名網が、これまで制作をしてきた作品は、デザイン、イラストレーション、実験映画、立体作品と多岐にわたる。そこには、可変的な創造者であろうとしてきた田名網敬一の等身大の姿がある。田名網が世界中のアーティスト、ミュージシャン、ファッションデザイナーから集めている尊敬は、あらゆる境界、領域を超えて創作活動を続けてきた歴史の重みに比例するものだ。本展では、18 点の新作プリント作品、アニメーション、立体作品から、ファッションブランドとのコラポレーションアイテム、出版物などを網羅。
ID
ddd_218
展覧会名
田名網敬一の現在展
開催期間
2018年08月28日–2018年10月23日
展覧会タイプ
dddからgggへの巡回展
会場
ddd太秦 (京都)
作家・団体
ポスターデザイン
協力
2018年08月28日
ギャラリートーク
京都dddギャラリー田名網氏と同じ京都造形芸術大学を教鞭を執り、自らを田名網信者と語る”現在美術家”の宇川氏とのトーク。膨大な田名網作品の画像・映像を見ながら、60年以上に及ぶ創作活動について質問形式で進行。田名網氏が活動を開始した時期はサイケデリック・ムーブメント全盛期。ベトナム反戦運動とも相俟って数々の作品が生まれた。”半芸術”の作家たちとの交流もあり、正統のグラフィックデザインとは対極の作品が生み出された。同じことを続けていると飽きてしまう為、絵画・イラストだけでなく、アニメーションや実験映像にも創作の幅を広げ、そのことが良い効果につながったと言う。1975年から『月刊プレイボーイ』のアートディレクションを10年担当。1980年代からは立体作品も始め、この時代の作品だけを収集するコレクターも存在する。そんな1981年に結核という大病を患い、闘病生活の中で見た幻覚を起源としたモチーフが子供時代の東京大空襲のイメージに加わり、何度も現出することとなったという。多作の源は他に趣味がないことと目や腰に衰えを感じないからだと締め括った。
2018年10月02日
ギャラリーツアー
京都dddギャラリー京都造形芸術大学教授の佐藤氏がアジアからの留学生も多く含む同大学のゼミ学生らを引率し、田名網氏自らが、会場を巡りながら展示作品をきめ細かく解説。展示作品は60年以上の期間の間に制作されたグラフィックデザイン作品、イラストレーション、アニメーション、立体作品、アパレル作品と世界的に注目される最近の海外ブランドとのコラボレーション作品まで非常に多岐にわたる。その中の数多くの作品を取り上げて、制作の経緯や背景、アイデア、制作手法等々について、丁寧に紹介された。長年にわたり常に好奇心と熱意をもって仕事に取り組んでこられた歴史が伝わり、学生たちは終了後のレポート提出に向けて細かくメモを取りながら、熱心に聞き入っていた。最後に佐藤教授から、創作期間もジャンルも幅広い直接作品に触れて作家である田名網氏から解説が聞けた貴重な機会をいただいたことへの感謝の挨拶で締め括られた。
会場写真
展示記録・撮影: 吉田 亮人