gggから巡回となる本展は、資生堂やパルコなどの広告キャンペーンの名作をはじめ、映画や演劇のポスター、レコードジャケット、自著を含めた多様なブックデザイン他、主に1980年代のニューヨークへ渡るまでの仕事に焦点を当てた。制作過程の一環を垣間見ることのできる校正指示やアイデアラフなど、クリエイティブに対する情熱を伝える作品・資料を、石岡瑛子氏の言葉とともに展開。
ID
ddd_230
展覧会名
SURVIVE - EIKO ISHIOKA
開催期間
2021年10月16日–2021年12月18日
展覧会タイプ
gggからdddへの巡回展
会場
ddd太秦 (京都)
作家・団体
ポスターデザイン
デザイン
展示構成
展覧会解説
YouTube配信- 出演者: 河尻 亨一
今回の展覧会の監修者であり、伝記『タイムレス-石岡瑛子との時代』を執筆した河尻亨一氏が展覧会の見所について語る。数多くの展示作品の中から、石岡氏が日本で初めて女性として日宣美賞を受賞した「シンポジウム 現代の発見」について、様々な形の模型を切って作った造形をアングルを変えて撮影したプリントを構成してできた事が近年発見された版下から分かったと言う。また、1970年代に10年に亘って担当したパルコのキャンペーンのひとつ、1977年の「あゝ原点。」は、最も撮影が困難であった。インドのある部族の女性の撮影交渉に1か月。許可が下りた際に砂漠の向こうから大挙して現れた女性達をモチーフに撮影されたと言う。モダンジャズ界の帝王マイルス・デイヴィスのアルバム「TUTU」のジャケットには、アーヴィング・ペンをカメラマンに起用し、マイルスの手や顔のモノクロ写真を使用。同アルバムはグラミー賞を受賞。最後に石岡の言葉の札を持ち帰る事ができる展覧会場のスペシャルコーナーを紹介。
ddd「SURVIVE - EIKO ISHIOKA /石岡瑛子 デザインはサバイブできるか」展覧会解説動画
「石岡瑛子は語る」
YouTube配信谷口氏が主宰する「チグニッタ」で行われたトークイベント「石岡瑛子を語る」の音源から、ダイジェストで配信できる様、編集。河尻氏は、第1章ではエイコさんがいかに凄い人であったかの数々のエピソードを披露。第2章では、北京オリンピックの衣装デザインについてインタビューし、気に入られた事。NYでインタビューした後、「ニューヨーク・タイムズ」で訃報を聞いた事を語る。第3章では、dddの展示の中からパルコの「あゝ原点。」や製版ディレクターもクリエイティブチームのメンバーとして扱った姿勢等を紹介。谷口氏からは、エイコさんが活躍したB1ポスター全盛期の時代から、今ではSNS等に広告やコミュニケーションが変わったと語る。また最終章で河尻氏は、パワフルさで圧倒的熱量を持つエイコさんは、底知れぬ矛盾を抱えつつ脆さも合わせ持つ、ラブリーな人でもあったと言う。そして今の悩める日本人にとって、エイコさんを知ることは役に立つはずだと締め括った。
ddd 「石岡瑛子を語る」河尻亨一×谷口純弘(大阪・京町堀「チグニッタ」にて)
会場写真
展示記録・撮影: 吉田 亮人