東京以西(あるいは以外)のグラフィックデザイナーと協働する実験的展覧会シリーズGRAPHIC WEST。9回目となる今回は、韓国のグラフィックデザイナー・デュオ、Sulki & Minとのコラボレーション。ソウルを拠点にしながら従来的な韓国/アジア的なデザインの枠組みを超えた、国際的かつ批評的な活動を行うチェ・スルギとチェ・ミンの思考に迫った。いわゆるクライアントワークだけでなく、展覧会用の作品制作や出版活動、映像、ウェブ制作、翻訳、執筆など、現代のグラフィックデザイナーの関心にあるほとんどすべての領域で高レベルの作品を発表しつづける二人の、活動を始めた2000年代半ばから現在に至るまでの作品を網羅的に紹介。
ID
ddd_227
展覧会名
GRAPHIC WEST 9: Sulki & Min
開催期間
2021年01月16日–2021年03月19日
展覧会タイプ
ddd企画展
会場
ddd太秦 (京都)
作家・団体
ポスターデザイン
キュレーター
空間デザイン
関連サイト
展覧会解説動画
YouTube配信パンデミック下で会場に来られなかったスルギ&ミンによる自己紹介と本展の解説。彼らのこれまでの個展は、特定のテーマを探り掘り下げるものだったが、本展は2005年から現在までのすべての作品を広く見せる事で、彼らを知ってもらうきっかけとなる事を目的とした。告知物やハンドアウトに使用したスプレッドシートをキービジュアルとしたのは、彼らのプロジェクトは常にスプレッドシートを用いて進行されているからだという。親交のあるキュレーターの後藤氏は、彼らとオンラインで綿密に協働する事で展覧会を企画。会場では『作品解説』や『アイデア』特集号を補完メディアとして配置しより深い理解を支援。展示デザイン担当のNo Architects西山氏は、展示ではなく提示をコンセプトに彼らのウェブサイトの作品背景に用いられたホワイトノイズをガルバリウム鋼板で再現。スプレッドシートに基づく年代順配列により、作家性よりも作品性を伝えたという。オンラインを用いながら、相互の信頼関係により満足のできる展覧会になったとスルギ&ミンが締めくくった。
ddd GRAPHIC WEST 9: Sulki & Min 展覧会解説
オンラインギャラリーツアー
YouTube配信デザイナー原田氏が視た展覧会を視線カメラで撮影。後藤氏の進行で、原田氏、西氏のゲスト2人が動画を見ながら解説。コロナ禍を受け来場できない方にも疑似体験できる様に企画された。各自、作家との交流の歴史を紹介。続いて視線カメラ映像を見つつバーチャルに鑑賞。原田氏は個々の作品より先に展示構成から見始めるという。随時、後藤氏が作品について解説。原田氏は、年代順の配置から作家の興味の遷移が感じられると言う。ポスターには展覧会用に日本でオンデマンド印刷されたモノも多く、作家のこだわりの所在が垣間見られる。後藤氏によると書籍は手に取れないが、適宜見開きに展示。西氏は十分世界観が伝わったという。会場の映像展示は、印刷データを再利用してプログラムによる自動生成で反復の無いコラージュ作品。作家の思考方法が感じられる。ほぼ全作品が作家のウェブサイトで見られる中、今回の展示は展覧会でこそ感じられる作品を通じた作家への信頼感とリアルなソウルのグラフィックデザインシーンだと原田氏は語った。
会場写真
展示記録・撮影: 吉田 亮人