大手クライアントの仕事やデザインコンペでの受賞を通じたキャリア形成が従来の若手グラフィックデザイナーのメインストリームだったとすれば、三重野龍はそこから距離を置き、オルタナティブな独自のスタンスで活躍。彼の特色は、京都を拠点に同世代の仲間たちとのネットワークを通じて、自分のやりたいことだけをやってきた展。デザイングッズショップ兼ギャラリー”VOU/棒”の運営、パフォーマンス活動など、デザインとアートの花器ねを越えたその活動は、軽やかな手作り感覚と若々しいバイタリティーで満ちている。彼のこれまでの作品をほぼ網羅し展示。
ID
ddd_223
展覧会名
GRAPHIC WEST 8: 三重野龍 大全 2011-2019 「屁理屈」
開催期間
2019年11月09日–2019年12月21日
展覧会タイプ
ddd企画展
会場
ddd太秦 (京都)
作家・団体
ポスターデザイン
2019年11月09日
ギャラリートーク&ギャラリーツアー
京都dddギャラリー5歳ずつ歳の離れた先輩二人とのトーク。大原氏は、三重野氏の作品が白地に筆勢のある”線描”の印象から最近は“背景”も強くなり、文字が活き活きする環境づくりができていると評価。これには三重野氏が加わる前衛ダンスの身体パフォーマンス活動に基づく運動神経が影響と分析。三重野氏はカリスマ的に多くの後進から支持を受けるが、単に真似していても追いつけないとも。井口氏は、三重野氏が関わる人々が三重野氏の作風を形成しているという。井口氏からの今回の「大全」は、本来死んだ後に開催するものとの指摘に、三重野氏は、これまで8年少しの全作品をほぼすべて展示する事で、自身の活動履歴を見直す事ができたという。今後も興味のある動植物やその環境を参考にしながら、自分の作風がどう変化していくのかに興味があると締め括った。12/7の学生限定ギャラリーツアーでは、大学時代は友達を作り、とにかく一生懸命遊ぶべしとアドバイス。
2019年12月21日
クロージングトーク
京都dddギャラリー精華大の先輩で先生のような原田氏と初対面だが会いたかった高田氏とのトーク。高田氏は、本展で知らない作品を見て目が喜ぶとの評価。高田氏の就職しなかった理由は?に、三重野氏は何も考えておらず、当時はそれが普通だったと。タイポグラフィへの情熱の源は?に、元々フォントが買えず、有っても上手く組めず、目立ちたくもあり、自分で書くように。グラフィティーの匂いは、学生時代のライブペイントの影響。高田氏が今も不安定な三角形をデザインするのは肉体的感覚の筋トレだという。三重野氏が月一回行う詩と写真をデザインする活動も訓練という点でそれに近い。原田氏はAIの機能が欲しいとも。こうすべきと思うとまず逆をやってみて予想外の効果を生む、そんな力を三重野氏に感じるとのこと。
会場写真
展示記録・撮影: 吉田 亮人