現在フランスで最も精力的に活動するグラフィックデザイン・スタジオの質の高いデザイン手法は数多くの分野で高く評価。ヴェネツィア・ビエンナーレ、ポンピドュー・センター、オーベルヴィリエ国立演芸センター、インテリア・デザイン国際見本市「メゾン・エ・オビジェ・パリ」、ハーバード大学、さらにはピエール・ユイグ、ラファエル・ザルカ、サーダン・アフィフといったフランスを代表する現代アーティストが顧客。日本初の個展となる本展では、ドゥバランスが現代グラフィックデザインの変革の一翼を担ってきたことを示す代表的な作品の数々を展示。
ID
ddd_222
展覧会名
ドヴァランス-システムを遊び場に
開催期間
2019年08月28日–2019年10月23日
展覧会タイプ
ddd企画展
会場
ddd太秦 (京都)
作家・団体
ポスターデザイン
2019年09月03日
ギャラリートーク
京都dddギャラリー- 出演者: アレクサンドル ディモス、ドヴァランス、室賀 清徳
2001年に設立した二人が、6つのプロジェクトを例に、彼らが考えるデザインにおける「システム」についてプレゼンテーションを行った。ポンピドゥー・センターの展覧会カタログ「DADA」は、彼らが開発したDADAグロテスクフォントとグリッドシステムで制作された。チューリヒの演劇ギャラリーのVIでは、予算がなくロゴを判子にした招待状作成を提案、手作り感が受取人を喜ばせた。彼らのB42という出版社は、グラフィックデザイナーにツールとして役立つ本を発行する図書館のような存在を担う。日本の寄藤文平氏他、海外デザイナーの仕事もフランスへ紹介。彼らを日本へ紹介した室賀氏からのスタジオ名の由来への質問には、中央集権的なフランスで、彼らが学んだ地方都市名をアピールしたとの事。グローバルなネットや人の流動性の進展によるデザインの均一化を嫌う彼らは、コンテクストを重視し、余計なモノを省いたデザインを心がけている。
ICOM京都大会2019記念トークイベント「美術館におけるヴィジュアルコミュニケーション」
アンスティチュ・フランセ関西=京都 稲畑ホール- 出演者: アレクサンドル ディモス、ドヴァランス、菊地 敦己、保坂 健二朗
アンスティチュ・フランセ関西=京都 稲畑ホールで開催。まずドヴァランスがミュージアムに纏わる5つの仕事を紹介。保坂氏からは、彼らの図録は注釈の入れ方が絶妙とのコメント。菊地氏は、20世紀のタイポグラフィは静的だったが、彼らのものは止まっていても動き出しそうにダイナミックだと評価。次に菊地氏が青森県立美術館のVIを始めとする、自身の作品を紹介。ヒエラルキーを嫌う人柄が滲み出る内容。美術大学中退の自分は、発注される仕事もやれば、自分で店を経営したり、自ら展覧会をしたり、という今の働き方が合っているという。「1つの職業=1人の人間」から解放されるべきとも。保坂氏は、出版社B42はF7でNPO活動もしているドヴァランスに菊地氏との共通性を見る。最後にデザイナーの責任について、最低限の技術的基盤に基づき社会的責任を果たす事と締め括られた。
会場写真
展示記録・撮影: 吉田 亮人