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ddd 219

組版造形 白井敬尚

  • 展覧会タイトルの「組版造形」とは「紙面に文字組版を配置・構成した空間を含む造形」。ブックデザインやエデイトリアルデザインを中心に活動する白井氏の美しい装丁の数々に加え、緻密に設計された墨文字1 色の見開きページを多数展示。白いテーブルに整然と本が並ぶという静謐な美しい空間となり、ddd の開け放たれたガラス壁面により、夜間は外からも展示が浮かびあがるかのように見てとれた。また白井氏による実際の仕事とともに制作にあたって参照された資料なども併せて紹介、過去の知識や造形がいかに引用・参照され、形を変えて継承されていくのか、表層だけではない奥深い組版造形の世界を堪能できる内容となった。

  • ID

    ddd_219

  • 展覧会名

    組版造形 白井敬尚

  • 開催期間

    2019年01月19日–2019年03月16日

  • 展覧会タイプ

    gggからdddへの巡回展

  • 会場

    ddd太秦 (京都)

  • 作家・団体

  • ポスターデザイン

  • 2019年01月12日
    ギャラリートーク「組版造形とブックフォーマット」
    京都dddギャラリー

    「組版造形とブックフォーマット」と名づけられたトークでは、白井氏が仕事についた職場で出会った様々な先輩方の影響を受けながら「タイポグラフィをやろう」と志した経緯が語られた。その後、30代半ばまではヘルムート・シュミット氏他を通じて心酔したスイス・タイポグラフィの王道を追ってきたが、正方形主宰の清原悦志氏の死を経て、もっと視野を広げたいと社内勉強会を開催し、日本語書体の活用方法を習得したとのこと。展示作品の中から数多くの作品について、レイアウトフォーマットを用いて、詳しく説明された。

  • 2019年02月15日
    ギャラリートーク「制約と自由」
    京都dddギャラリー

    「制約と自由」というタイトルで白井氏が敬愛する故ヘルムート・シュミット氏の娘であるニコール氏と同世代で京都在住のデザイナー、一野氏が白井氏に組版に関して質問する形で進行。全体を「改行と組版」、「スペーシングと濃度」、「グリッドと自由」、「本と佇まい」という4テーマ別に展示作品を中心とした組版のスライドを示しながら、改行はどこで行うべきか?、『アイデア』誌面のハンギングの意図は?、花形装飾はどう使うべきか?。文字組のスペーシングのコツは?、書籍『老建築家の歩んだ道』で使われた4つの書体を選んだ理由は?等々、デザイナーには参考になる具体的な質問に対して、白井氏により懇切丁寧なコメントをいただく。白井氏も30代半ばまでとそれ以降で、組版に対する姿勢に変化が出て機能一辺倒のスイス・タイポグラフィ重視から開放され、グリッドシステムも花形装飾も原稿内容をどう表現するかに役立てる為に臨機応変に使えるようになった、という経験に裏打ちされた言葉が印象的であった。

  • 2019年01月26日
    ギャラリーツアー
    京都dddギャラリー

    会期中には白井氏によるギャラリーツアーも開催。ほぼ時系列に配置された展示会場の展示台を休憩も挟んで3回に分けて事細かく解説。使用した書体や制作時のブックフォーマットや編集者とのエピソード、DTPの発展の影響など多岐にわたり、デザインや編集に関わる参加者も多く、実践的な内容に聞き入っていた。いずれのイベントも誠実な白井氏の人柄とタイポグラフィ、組版に関する尽きない好奇心が伝わる内容であった。

会場写真

展示記録・撮影: 吉田 亮人

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