田中一光が多感な青春時代の4年間を過ごし、「琳派400年」に沸く京都で開催。DNPグラフィックデザイン・アーカイブの田中ー光作品から、琳派に見られる主題、技法、色、形、さらには創作に対する姿勢といった観点より123点を厳選。屏風を意識した蛇腹状の壁面などを用いて紹介した。いかに氏が琳派のエッセンスを自分のものとし、継承したかがわかる展示空間となった。
ID
ddd_204
展覧会名
20世紀琳派 田中一光
開催期間
2015年08月18日–2015年10月29日
展覧会タイプ
ddd企画展
会場
ddd太秦 (京都)
作家・団体
ポスターデザイン
後援
特別参加
展示デザイン
2015年08月18日
講演 1
京都国立近代美術館京都国立近代美術館で秋に開催の「琳派イメージ展」を大日本印刷が協賛し、一部の作品提供を行う事から、この会場を使って行われた第一回目の講演。登壇を心待ちにしていた闘病中の木田安彦氏は、わすか数日前に残念ながら逝去。冥福をお祈りしたい。dddには、木田氏が敬愛した田中氏の肖像画が展示されている事を紹介。美術史家である山下氏の司会で、永井氏が田中氏と、共に大阪でデザイナーとしてスタートした頃のエピソードを披露。また佐野氏は、今回dddの展示構成や告知物を担当して知った田中氏の奥深さを語った。山下氏は、「日月山水図屏風」、「平家納経 願文見返し」、「波に麒麟図杉戸」といった代表的琳派作品から田中氏がいかに大胆にそのエッセンスを吸収し自分自身の一部として“血肉化”したか、多くのスライドを用いて説き明かした。
2015年09月19日
講演 2
京都国立近代美術館- 出演者: 山下 裕二
京都国立近代美術館との連携からこの会場を利用した第2回目の講演。中世日本美術史が専門の明治学院大学教授の山下氏は、田中氏の「冬季オリンピック札幌大会 '72」ポスターをはじめとして、代表作である「JAPAN(1986)」、「CONCERT / PROJECTION DE FILMS(1997)」や「サンケイ観世能シリーズ」といった作品は、琳派作品のパーツを直截的に活用して自身の作品に"血肉化"していることを紹介。さらに「田中一光グラフィックアート植物園」、「MUSIC TODAY ’85(1985)」「NIHON BUYO(1981)」といった作品では、琳派に見られる主題、技法、色、形や創作姿勢に及ぶまで、"血肉化"をさらに研ぎ澄ませ、幾何学的なパターンや直線、円のみで作品を見事に構成するなど、いかにシンプルかつ大胆に自身の作品に展開したか、具体的に数々の作品を見ながら解説した。
2015年10月14日
関連イベント:京都市立芸術大学 ビジュアルデザイン専攻 公開講座「田中一光 手の痕跡をたどる」
京都市立芸術大学- 出演者: 福田 秀之、伊藤 豊、楠田 雅史
- 主催: 京都市立芸術大学
- 共催: 公益財団法人DNP文化振興財団
- 協力: 株式会社DNPアートコミュニケーションズ
dddの展覧会を機に、京都市立美術専門学校図案科(現・京都市立芸術大学ビジュアルデザイン専攻)に学び、日本を代表するグラフィックデザイナーとして活躍した田中一光の創作の姿勢を探る公開講座。今回、DNP文化振興財団の田中一光アーカイブと京都市立芸術大学芸術資料館収蔵の代表的なポスターを中心に展示。一部制作の素材である版下なども展示。3名の講師が異なる立場から見た田中一光作品について、ギャラリーツアー形式で見て回りながら、作品解説を行った。
会場写真
展示記録・撮影: 吉田 亮人